3月26日から4月5日にかけて,MMORPG「
AILA Online」のクローズドβテストが行われた。本作は,クラスや職業といった概念をなくし,レベルとステータス,習得したスキルによって各自の好みに合わせたプレイヤーの育成ができるという大きな特徴を持つタイトルだ。また,生産系のスキルが充実しており,生活を楽しめるという点も,大きな注目を集めている。
今回,4Gamerでは,そんな本作の開発を担当する韓国sonov ゲーム開発研究チーム 企画室長 ペ?ユンス氏と,海外事業部 チーム長 イ?ジェウォン氏,そして運営のYNK Japan プロダクトマネージャー 荻原優希氏に話を聞いてみた。
「LIFE Online」「N.E.O Online」を経て,日本からのリクエストに応じて「AILA Online」へと変化
4Gamer: 本日は,よろしくお願いします。AILA Onlineは,日本でのサービスが決まる前に,タイトルとコンセプトを変更した経緯がありますが,最初の企画がどのようなものであったのか教えてください。
ペ?ユンス氏(以下,ペ氏): 最初の企画では「LIFE Online」というタイトル名でした。まさに“生活”をテーマにした内容で,戦闘だけでなく生産に重点を置いたコンテンツの充実を図ったものでした。
4Gamer: それはここ数年,韓国で流行しているMMORPGとは異なるスタイルだと思いますが,あえてそうした企画にしたのは,何か理由があるのでしょうか。
ペ氏: 最近のMMORPGを実際に遊んでいて,プレイヤーのクラスや種族といったものの存在が,プレイスタイルに制約をもたらしていると感じたからです。そういったMMORPGの多くは,クラスや種族によって能力が異なっており,各自の能力の範囲でやれることが決まっています。しかし,私や開発スタッフは,そういった傾向をあまり面白いと思わなかったのです。
イ?ジェウォン氏(以下,イ氏): そうしたMMORPGは戦闘に特化していて,結局,狩りと対人戦に終始してしまいがちです。そこで,もっといろいろな楽しみ方のできるゲームにしたいと考えたわけです。
4Gamer: なるほど。例えば黎明期のMMORPGは,プレイヤーに対するシステム的な制限が少なく,さまざまな方向性を持つコンテンツが1タイトルの中に混在していました。そのため,プレイヤーは各自のプレイスタイルを自由に築き上げることができましたよね。いわば,そういったMMORPGへの原点回帰を図ったような感じでしょうか。
ペ?ユンス氏 | イ?ジェウォン氏 |
ペ氏: そういうことです。私自身が,かつて「ウルティマ オンライン」「マビノギ」「リネージュ」「シールオンライン」をプレイして面白いと感じた部分をLIFE Onlineで再現しようと考えました。
4Gamer: しかし,残念ながら韓国ではそうした意図は受け入れられなかった,と。
ペ氏: はい。お話ししてきた理想を掲げて開発に臨んだのですが……。一つには,韓国では完成度の低い段階でサービスインせざるを得なかったという事情がありました。またそのあとも,韓国のプレイヤーの嗜好に応じて,生活要素よりもPKや対人戦のようなコンテンツの実装に注力することになったのです。そこで「N.E.O Online」として再スタートすることになったときに,カオスバトルなどを追加しました。
4Gamer: 今回,日本でAILA Onlineとして展開するにあたり,再び生活要素がクローズアップされますよね。
ペ氏: そうです。LIFE Onlineでは実現できなかった,“生活”“生産”の要素を充実させていきます。
4Gamer: それは,日本市場を踏まえたYNK Japanさんからのリクエストでもあったわけですよね? その要望を聞いたとき,開発者としてどういう感想を持ちましたか。
ペ氏: 正直,複雑な気持ちでしたね。というのも運営の要望や指摘は,まさに私達がやろうと思って実現できなかった部分だったからです。開発者として至らなかったところを指摘されたようで恥ずかしく思う半面,もともと理想としていた内容ですから嬉しくもありました。よりよいゲームを皆さんに提供するという意味でも,頑張って開発していこうと考えています。
4Gamer: 実際,YNK Japanさんからのリクエストをどう受け止めましたか? 世界的にいえることですけれども,ゲームに求められる要素は各国それぞれ異なることが多いので,運営と開発で国が違うと見解の相違が生まれることもあるのではないかと思います。
ペ氏: YNK Japanさんは,とにかく要望や確認事項が多くて大変です(笑)。しかし,それだけの情熱を感じますし,また面白いアイデアも多いですね。新しいアイデアを提供すると,単にいい悪いではなく,「こういう形にすると,よりよくなるのではないか」というフィードバックが必ずありますし。
4Gamer: そうした点について,何か具体的なエピソードを教えてください。
ペ氏: 例えばBGMですね。YNK Japanは,BGMのバリエーションを増やしたいとずっと提案してくれていたんです。実のところ私達はあまりBGMを重要視していなかったので,ちょっと面倒だとも思ったのですが,実際にやってみると予想以上にいい結果が得られたので驚きました。声優によるボイスも同じです。
あとは具体的とはいい難いのですが,最初は1行だったアイデアが,お互いのフィードバックを繰り返しているうちに一つの企画書になっていたというケースが結構あります。
4Gamer: 逆に,YNK Japanから見たsonovはどうでしょう?
荻原優希氏(以下,荻原氏): こちらが出した意見に対するフィードバックが非常に早いですね。また,実現が難しい要望を出しているつもりなのですが,それを上回る内容の答えが返ってくるので嬉しい限りです。
4Gamer: なるほど。お互いにいい関係を築いているわけですね。
調整中のハウジングシステムをはじめ,さまざまな新規コンテンツを鋭意開発中
4Gamer: それでは,これから日本でAILA Onlineがどういった展開をしていくのか,概要を教えてください。
ペ氏: 2010年から2011年にかけては,各種コンテンツの追加はもちろんですが,プレイヤーにストレスを強いる部分を見つけ出し,解消していく予定です。そういった土台をきちんと組み上げていくことが大変重要であると考えています。
4Gamer: 追加されるコンテンツについて,もう少し詳しく教えてもらえますか。
ペ氏: 今の段階では,あまり具体的な話はできないのですが,コミュニティ関連ですね。大きなものではプレイヤー間のコミュニケーションを楽しくするものがあります。これは2010年内に実装したいのです
引用元:
Reign of Revolution 情報局